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「追い焚きだけできない!」それって故障?原因と自分でできる対処法

浴槽の追い焚きができないが、出湯はできるのであれば、給湯器の故障ではなく他に要因があり、自分の力で対処・解決することが可能なケースが多くあります。
この記事を読むと、追い焚きだけができなくなっている原因とその対処法、交換する際の費用相場の目安までわかります。
目次
1.お湯は出るのに「追い焚きだけできない」のはなぜ?

出湯はできるのに、浴槽の追い焚きができないといったケースがあります。
最初に追い焚きの機能について解説していきます。
⑴そもそも追い焚きとは
給湯器の追い焚き機能は、浴槽内の冷めてきたお湯を追い焚き用の配管を通して循環させ、再度温めるものです。
そのため、足し湯をしなくても浴槽内のお湯の温度を一定に保つことができ、家族が多い家庭などで便利です。
⑵追い焚きの構造
給湯器の追い焚き機能は、主流である「ポンプ循環式」の他に「自然循環式」があります。
ポンプ循環式
ポンプ循環式は「強制循環式」とも呼ばれています。
1つの循環口から浴槽内のお湯を吸引し、配管を通して給湯器の熱交換器で温め、同じ循環口から戻す仕組みです。
自然循環式
循環口が2つある自然循環式の多くは、ポンプを搭載していません。
下の穴から入ったお湯を温め、温度差によって上の穴から出てくるという、お湯を循環させる仕組みです。
⑶「給湯」と「追い焚き」は別回路!
給湯と追い焚きは別回路になっていますので、新湯と古湯が混じって出湯されることはありません。
ポンプ循環式の場合、循環用の配管が長くなり雑菌が繁殖しやすいという特徴がありますが、フルオートタイプであれば追い焚き用の配管を自動洗浄してくれる機能が搭載されています。
⑷追い焚きできないときに出るガス給湯器のエラーコード
追い焚きができなくなったときの主なエラーコードは以下の通りです。
| メーカー | エラーコード | 内容 |
| リンナイ | 632 | 追い焚きの水流スイッチの異常検知 |
| 662 | 追い焚き流量制御弁の異常検知 | |
| ノーリツ | 632 | 浴槽の水が循環しない |
| 612 | ふろ燃焼ファンの異常検知 | |
| E0C | ふろ追い焚き循環不良 |
2.「追い焚きだけできない」主な原因5選

追い焚きができなくなっている主な原因を5つ解説していきます。
⑴循環フィルターの詰まり
追い焚きができなった原因で最も多いのが、循環口に取付けられているフィルターの詰まりです。
定期的に清掃していない場合、浴槽内の髪の毛やゴミなどが汚れとしてフィルターを詰まらせ、循環不良を起こします。
ヘアピンや子どものおもちゃなどが詰まることもありますので、浴槽内に余計なものがないかどうか確認しておくと予防できます。
⑵浴槽の水位が低い
浴槽の水位が循環口よりも低いといったケースでは、循環するお湯の量が少ないため追い焚き機能が停止してしまいます。
停止しないで循環システムが作動してしまうと、空運転になってしまい給湯器が故障してしまうからです。
⑶給湯器側の追い焚きポンプ・センサー異常
設定温度を目安に追い焚き運転されますので、温度センサーに異常があり、正常な温度を検知できない場合は追い焚きが行われません。
追い焚きポンプの配線などの電気系統の不具合でも同じ現象が起こります。
⑷配管内のエア噛み・詰まり
追い焚きを行った際には、多少の気泡が出てきますが問題ありません。
しばらくすると気泡は目視できなくなりますが、この気泡がずっと出続けていると問題です。
配管内のどこかで水漏れを起し、そこから空気を吸い込んでいる可能性があるからです。
ゴム製パッキンの割れ、循環金具の劣化、配管自体の劣化による水漏れが考えられます。
その後、安全装置が作動して追い焚きができなくなってしまいます。
また、長期間追い焚き機能を使用していない場合、循環用の配管に大量の空気が入っていて追い焚きができなくなっているケースもあります。
⑸給湯器の経年劣化
給湯器の耐用年数は10年から15年で、使用頻度によって前後します。
10年以上使用している場合は、給湯器が経年劣化のため不具合を起こし、追い焚きできなくなっているかもしれません。
また、給湯器本体ではなく、リモコンの寿命で通信エラーが起き、追い焚きできていないかもしれません。
10年以上使用していて不具合が起こったのであれば、一箇所修理しても、他の箇所でまた経年劣化による不具合が発生する可能性が高いので、修理よりも交換がお得です。
3.自分でできる対処法【試してOKな4つの手順】と修理&交換の費用相場

追い焚きができなくなった場合の自分でできる対処法について解説します。
自分では対処できないのであれば専門業者に連絡して修理・交換となりますので、費用相場についても紹介いたします。
⑴浴槽の水を満タンにしてみる
浴槽の水位が不足しているために追い焚き機能が停止しているのであれば、「浴槽を満タン」にすることで解決します。
追い焚きが正常に作動する水位はメーカーごとに異なりますが、循環口より5cm以上が一般的です。
正常に作動しない際は、浴槽を満タンにして様子を見ましょう。
⑵循環口(吸い込み口)フィルターを掃除
追い焚きができなくなる最も多い原因は循環口の詰まりですが、こちらも自分で対処することが可能です。
安全のため給湯器の電源を切り、循環口フィルターの掃除をします。
フィルターを取り付けたまま清掃すると汚れが配管の内側に入ってしまいますので、取り外して清掃しましょう。
フィルターに付着した湯垢や髪の毛などの汚れを、歯ブラシなどを使用して取り除きます。
ついでに配管内もブラシで届く範囲まで清掃しておくと、より清潔に使用できるようになります。
配管内専用の洗浄剤も市販されていますので、利用すると隅々まで洗浄できます。
⑶電源をOFF → 再起動
一時的に信号が不具合を起こしているだけであれば、リセットによって解消することも可能です。
給湯器のリセットの仕方は2種類ありますので、両方試してみるのがよいでしょう。
- リモコンの電源を切って、しばらく待ってから電源を入れる。
- 給湯器の電源プラグを抜いて、しばらく待ってから電源プラグをさし込む。
リセットによって復旧してもまたすぐに不具合を起こす場合は、専門業者に連絡して点検や修理してもらう必要があります。
リセットは給湯器に負担をかけますので、何度も繰り返すのはやめましょう。
⑷リモコン表示のエラー番号をメモして調べる
追い焚きができなくなっている場合、リモコンにエラーコードが表示されますので、そちらを参考にして対処する方法もあります。
例えば、リンナイ製給湯器でエラーコード632が表示されているのであれば、浴槽の水位か循環口の汚れが原因の可能性が高いので両方試してみます。
エラーコードをメモしてから、下記のwebサイト上でエラーコードを入力すると、原因や対処法が表示されますので、調べてみてください。
⑸上記を試しても直らない」「異音」「異臭」「エラー続出」の場合は専門業者へ
循環口の清掃や浴槽の水位を上げる、リセットなどを試してみても追い焚き機能が回復しない場合、これ以上は自分では対処できませんので、専門業者に連絡してください。
リセットをして一時的に復旧しても、またすぐにエラーコードが表示されるケースも同様です。
給湯器本体から異音や異臭がする場合は、不完全燃焼の危険性がありますので、給湯器の電源を切りすぐに専門業者に連絡するのがよいでしょう。
迅速に対応してくれて、地域からの信頼の高い、実績のある専門業者を日ごろから探しておくと、もしものときにすぐに連絡できます。
⑹交換の費用相場
ご紹介する給湯器の交換費用相場については、本体価格の他、工事費・撤去費用・消費税込みです。
| タイプ | サイズ・機能 | 費用相場 |
| ガス給湯器 | 24号・フルオート | 155,000円から180,000円 |
| エコジョーズ | 24号・フルオート | 190,000円 |
| エコキュート | 370L・フルオート | 380,000円から780,000円 |
| 460L・フルオート | 480,000円から830,000円 | |
| ハイブリッド給湯機 | 給湯・フルオート | 840,000円から1,050,000円 |
| 給湯・暖房・フルオート | 1,060,000円から1,290,000円 |
これまで使用していたものと同タイプの給湯器への交換であれば、標準工事で交換可能ですが、例えばガス給湯器やエコジョーズからエコキュートなど、異なるタイプの給湯器に交換する場合は基礎工事や配管工事、電気工事など別途工事費がかかります。
その場合は見積もりの際に、どのくらい費用がかかるのか事前に確認しておくとよいでしょう。
4.よくある質問

Q1.「追い焚きができないけど、お湯は出る」場合は故障ですか?
故障とは限りません。「追い焚き」と「給湯」は別系統の機能です。
フィルターの詰まり、水位不足、配管内の空気混入など、簡単な原因で止まることが多いです。
まずはフィルター清掃と浴槽水位の確認をしてみましょう。
Q2.リモコンにエラーコード「632」が出たけど、修理が必要ですか?
「632」は、多くのメーカーのガス給湯器で共通しているエラーコードで、ふろ水流スイッチの異常(追い焚き循環がうまくいかない)を意味します。
循環口の詰まりを掃除し、浴槽の水を満タンにしてから再起動すると解決することがあります。
改善しない場合は、専門業者に修理や点検を依頼しましょう。
Q3.フィルター掃除はどのように、どのくらいの頻度でしますか?
浴槽内の循環口のフィルターを回して外し、歯ブラシなどでゴミや湯垢を落とします。週1回程度の清掃がおすすめです。
Q4.追い焚きボタンを押しても反応しません。
以下の3点を順に確認しましょう。
- リモコンの電源が入っているか
- 浴槽に十分な水が入っているか
- 給湯器の主電源(ブレーカー)が入っているか
それでも反応しない場合は、リモコンまたは給湯器本体の通信不良の可能性があります。
Q5.追い焚きすると異音(ゴボゴボ・ブーン)がします。
ゴボゴボ音は、空気噛み(エア混入)の可能性があります。
浴槽の水を満タンにして、再度追い焚きを試すと改善することがあります。
ブーンという振動音は、ポンプやファンの劣化が原因のことも。
異音が続く場合は点検を依頼しましょう。
Q6.給湯器の寿命はどれくらいですか?
一般的に約10年が交換目安です。
給湯器は熱や湿気の影響で、追い焚きポンプや基板などの部品が経年劣化して動かなくなることがあります。
メーカーの補修用部品の保有期間は、製造終了後おおむね10年と定められています。
10年以上経過した機種で部品がない場合は修理ができないため、交換を検討するのが現実的です。
Q7.リモコンにエラーが出ていなくても追い焚きできません。原因は?
電子制御上のエラーではなく、
- フィルター詰まり
- 水位不足
- 配管内の水漏れ(微小)
といった物理的な要因の可能性があります。
給湯器の電源リセットを行い、再度追い焚きを試してみてください。
Q8.給湯器の電源を入れ直すと直るのはなぜ?
一時的な通信エラーやセンサー誤検知がリセットされるためです。
再起動で一時的に直る場合は、基板やセンサーが劣化している可能性があります。
頻発する場合は修理が必要です。
Q9.自分で修理しても大丈夫ですか?
ご自身で外装カバーを開けたり、配線・配管を触ったりするのはNGです。
給湯器は、専門の資格が必要な特定保守製品のため、分解修理は危険です。
ユーザーができるのは、フィルター掃除・再起動・水位確認までです。
Q10.修理と交換、どちらがお得ですか?
どちらがお得なのかは、使用年数によって異なります。目安は以下の通りです。
- 使用年数10年未満 → 修理(数千~数万円)で十分対応可能。
- 使用年数10年以上 → 部品の在庫がない可能性。交換した方がランニングコストも下がる。
なお、エコキュートやハイブリッド給湯機などの高効率給湯器に交換するのであれば、購入の際に国の補助金が活用できる場合があります。
導入費用は高額ですが、年間の給湯光熱費が1~2万円ほど安くなることがあります
5.まとめ

お湯は出るのに追い焚きだけができないのであれば、浴槽の水位を上げたり、循環口を清掃するなどで解決できる可能性が高いです。
ただし、耐用年数の10年が過ぎているのであれば故障のリスクが高くなっているので、交換も検討に入れるのがよいでしょう。
